私たちが歩いて、漂着物を探す海岸は、カーソンの名著「Edge of the Sea」にもあるように、海の縁・・・陸と海との間に長く横たわる異界ともいえます。そしてこの異界は、生と死が隣り合う場所です。
ふだん、私たちが街中で暮らしていると、身近で死に出会うことはありません。時折出会うロードキルの動物くらいのものです。でも海岸には死がやたら転がっています。打ち上げられた貝殻は、いわば貝の骸骨。流木に付着したエボシガイが打ち上げられて死ねば、数百から数千のオーダーの死に出会うことも珍しくありません。
海岸で印象的な死は、やはり海鳥のものでしょう。海が荒れたあとにはさまざまな海鳥の漂着があります。特に太平洋側の海岸では、タスマニア地方などで繁殖したハシボソミズナギドリの渡りと重なり、驚くほど大量の漂着死に出会うこともありますが、今年は極めて少ないのです。
今回も伊古部では見つけることができず、出会ったのはオオミズナギドリ、カワウ、それにウミスズメ類でした。
昔は鳥を捕まえたり、見たりして楽しんでいた時季もあるので、鳥はつい気にして見てしまいます。残念ながら頭部と胸部は一部が欠損していましたが、翼の形、長い胸骨、水かきのある水色っぽいアシでウミスズメ類だろうと思いました。
あかばね塾で活動されているWさんが鳥を集めて自然史博物館の資料にしていると聞いていましたので、連絡して引き取ってもらいました。鳥はやはりウミスズメだったそうです。
オレがこんなモノ持ち帰ったら、家で怒られそうですが、Wさんが玉ねぎなどの野菜と交換してくれたので、嫁さんは大喜びでした。(笑)