南の国から海流に乗って、様々な種子や果実が運ばれてくるのは知られたことですが、浮力の弱いものは沈みますよね。漂着物と違い、こうして沈んでしまった植物遺物もあります。
漂着種子のバイブル・World guide to Tropical drift Seeds and Fruits には、こうした沈んだ植物遺物の記載もあり、これは海底のドレッジからサンプルを採集したそうです。沈んだものは、種子や果実が破損によって、内部の含気構造が失われたり、コルク質が外れることで起きることが多いようです。
この、巨大なオナモミ状のモノは何だか分かりますか?これは表皮の外れたミフクラギです。細いテープが張られたような表皮の下にはコルク質があり、コルク質が失われるとオナモミのような棘が露出します。写真はこの秋に何とか表浜にたどり着いたミフクラギですが、もう少しエージングが進めば、海底に沈んだことでしょう。状態の良い標本だけではなく、こうしたサンプルも様々なことを語りかけてきますね。